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自転車で旅・美しい自然*
* [自転車で旅するあこがれ] * 坂の町で育った私は、自転車で旅をする人に出会って、衝撃を受けた。 日本の約半分を、自転車できたというのだ。 荷物をつんで。 * きっと、男の子だからだ、と納得した。 * ところが、その後、女の子に出会ってしまった。 もっと遠くからやってきたと言う。 私より背が低かった。 *
* 私は、ワクワクしながら、彼女の旅の話を聞いた。 私は「スゴイ!すごい!」を連発した。 こんなに小さいのに、不思議だ〜。
その女の子は、不思議がる私を不思議そうに見た。 「すごくないよ。あなただってできるよ」 とても信じられなかった。 自転車に乗れないわけじゃないけど、小学校6年生のときにのったのが最後。 * でも、この小さなかわいい女の子にできるのなら、私にもできるかもしれない。 ああ、いつか、自転車で日本一周してみたいなあ…と、空を見上げていた。 *
* がまんできずに、26インチの自転車を買った。 * 危険だから乗るな。 恥ずかしいから乗るな。 かわってるね。 いろいろ言われながら、ずっと自転車に乗っていた。 * 就職をすると、自転車で通勤できる距離ではなくなった。 自転車が、原付に変わった。 だんだん、旅への思いは薄れていった。 **
* [やっぱり旅に出よう、自転車で] * 仕事の環境は良かった。 でも、このまま、一生が単調に過ぎるのかな、と思ったらやるせなかった。 私は、何をするために生まれてきたんだろう? わからないけど、このままじゃ、死ぬときに後悔する。 * そう思ったときに、自転車で旅をするという夢を思い出した。 少なくとも、自転車で日本一周をしたら、悔いなく死ねるゾ、と。 * それから資金を貯め始めた。 再び自転車に乗りはじめた。 できるか、できないかを考えることはなかった。 やるのだ、と思っていた。 * 簡単には資金も貯まらない。 どこまでやったら完璧か、なんてこともわからない。 そこで、出発の日を決めることにした。 会社を辞めた翌月のはじめに、私は出発した。 夏の暑い日だった。 *
* [すぐ後悔!ハハハ] * 家を出て、すぐに心の中で後悔した。 家の前の坂道が、本当に本当に苦しかった。 でも、両親の反対をふりきっての出発だから、後戻りはできない。 * この苦しい坂が、帰ってきたときには、スイスイ走れたなんて…。 *
* 「どこから来たの?」 「これ、持っていって」 「うちに泊まりなさい」 * たくさん声をかけてもらい、たくさん親切を頂いた。 今ほど、物騒な世の中ではなかった。 田舎は、温かかった。 いつか、これを次の人たちに返していくのだと心の奥で思いながら…。 * 月日を重ねても、「自転車初心者」という気持ちは抜けなかった。 だから、無理をしない。 1日、20キロしか走らないこともたびたび。 **
** [まず、北海道へ渡る] * 実は、結局のところ、日本「一周」の夢は実現していない。 とにかく、行ったことのない北海道に行きたかった。 そこで、フェリーもフルに利用して、まず北海道へ渡った。 そこから、南下した。半周の旅。 * 北海道行きのフェリーには、大勢のちゃりんこ達がいた。 こんなにいっぱいいるのかとびっくりした。 みんな陽気で親切。 私が初心者だと知ると、様々な情報を惜しみなく提供してくれた。 *
* 北海道に降り立ち、走り始めると、私が初心者だとすぐわかる。モタモタしてるから。 なごりおしいが、仲間とは、そこでお別れをする。 北海道を反時計周りで走る。 気に入ったところでは、数日間滞在。気ままな旅。 ** [雪の北海道をあとにして] * 初雪の降った北海道をあとにして、本州に渡り、南下を始めた。 はじめに北海道を経験してしまうと、本州の良さを見つけるのは難しい。 それでも、人の温かさはどこへ行っても変わらなかった。 * * * 東京で、友人宅に泊めてもらった。 とても親切にしてくれた。 でも、キャリアウーマンとして誇らしそうな彼女が、遠くに見えた。 * [身体の疲れ・心の疲れ] * 都会を通り抜けるときは、とても辛かった。 ひたすらに走ること以外、楽しみを見つけることのできない自分も悲しかった。 あるとき、もう、この旅を終えて、働きたいと思いはじめていた。 そんな、思いもつかなかったことが浮かんだ自分の心にびっくりした。 * ワクワクすることの延長であるはずなのに、それが日常になると ワクワクはワクワクでなくなるのかもしれない。 * 九州のユースホステルで、声をかけられた。 「宗谷岬で会いましたよね?」 え? 実は覚えていなかった。 自分の心にショックを受けた。 * 旅慣れしていくことで、大切にすべきことをないがしろにしている自分… 恥ずかしかった。 「慣れ」てはいけない、と思った。 *
* [旅の終わりに] * ここまできたら、最南端まで行ってみたい!と、石垣島まで足をのばした。 本当に美しかった。 信じられない美しさだった。 そして、石垣島までやってくる旅人たちは、さすがに、個性的でおもしろかった。 私は、命を吹き返したような思いだった。 * もっと、ここに居たい。 あと、お金はどれくらいあるだろうか? どれくらい滞在できるだろうか? ダイビングの免許を取って、そして… *
* 頭の中を夢が駆け巡った。 しかし、事情があって、数日後に帰途についた。 * あの美しさをあとにしたとき、旅は終わった。 それから、1日平均80キロを走った。 あんなに苦労して出発した道のりを、嘘のようにラクチンに走ることができた。 それは、とても悲しかった。 *
旅で出会った思い出深い動物
■シマリス(げつ歯類・リス科) → 北海道・利尻山で出会う。 背中に白と黒のしまがある。 体長は12〜23センチで、シベリア、中国、北朝鮮、北海道に生息する。 木の上にも登るが、地上ですごすことが多い。 食べ物は、木の実やキノコ、昆虫やカタツムリなども食べる。 ほおには、食べ物を入れて運ぶためのほおぶくろがある。 どんぐりなら、左右2個つづくらいなら、保管できる。 後ろ足で立ち、前足で木の実を持つ姿は、なんとも愛らしい、定番。
■カモシカ(偶蹄類・ウシ科) → 立山の農道で出会う。 体長100〜120センチ。 本州・四国・九州に生息している。 急ながけや岩場の多いけわしい山に住んでいる。 口から耳にかけて、ひげがある。 ニホンカモシカは、特別天然記念物に指定されている。 …「カモシカのような足」とは、それまで細くてスラリとした足だと思っていた。どうも違うらしい。 |
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