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雪とスキーの暮らし*
* [雪国へのあこがれ] * 私は九州育ち。 雪が降ると、それだけではしゃいでしまう。 * 長野県の12月下旬、一晩中、雪が降った。 待望の雪。 スキー場にある宿泊施設でアルバイトをするために、私はいた。 * 朝、窓が白く輝いている。 あけると、昨日とは違う世界が広がっていた。 雪国では当たり前のことが、魔法のように思えた。 * 外に飛び出す。 サクサクという足音。 ざわめきながら、木々からおちる雪。 * 誰かいる? 思わず振り返る。 雪の妖精のしわざかと思うほど…。 *
* [はじめてのスキー] * 「さあ、これをはきなさい」 オーナーが、スキー用品一式を準備してくれた。 私はスキー初体験。 雪に目を輝かせている私に、オーナーからの粋なはからい。 * ゲレンデは、ものの1分もかからないところだった。 もちろん、その初日は1分ではたどり着かなかった。 オーナーは、転び方とボーゲンをおしえてくれて、帰って行った。 「仕事以外の時間は、いくらでも滑っていいよ」 * 楽しかった。汗びっしょりになった。 リフトにのれるようになったのは、1週間後である。 *
* [おぼっちゃまの指摘] * スキーとアルバイトを目的にするには、好条件の場所だった。 それゆえ、アルバイトは、体育系の大学生が多かった。 先輩からの紹介で代々続いているらしいことを知った。 私は、雑誌で応募。偶然の採用だったのだ。 * 全員が集まる朝食時、話題はスキーの話になる。 みんな、ベテラン。 私は、超初心者。 飛び交う話を、感心しながら聞いていた。 * そのとき、突然、小学校3年生のワンパクおぼっちゃまが、 「すっげーヘタクソだぜ!」 と私を指さして大声で叫んだ。 一瞬、爆笑の渦。 * すぐにオーナー夫人がフォローをしてくれた。 でも、…当たっている。 それよりなにより、みんなに笑われたことが、ものすごく恥ずかしかった。 * スキーをはじめてやって、充分楽しく、満足していた。 それ以上、うまくなろうと思っていなかった自分がいた。 このアルバイトが終わったらもう、スキーをすることはないし…、と。 * しかし、彼の一言で、私の考えは一変した。 「絶対うまくなってやる!」 1ヶ月後にバッジテストの3級合格を目指すことにした。 * * * [スキー三昧] * それからは、1分でも早く仕事を終わらせるように集中した。 * 嵐の日も雨の日も、ゲレンデに出た。 …かえって、その方がお客さんが少なくて練習になる。 ナイターにも、毎日行った。 * 部屋に戻ると、たった1冊あったスキー教本を熟読。 パントマイムのように練習した。 その不恰好なところを見られて、また大笑いされた。 しかし、このときは、恥ずかしさで真っ赤にはなっても、もう気にならなかった。 * * [美しい山頂からの眺め] * バッジテストを終え、山頂に降り立った。 山頂からの景色が、こんなに素晴らしかったことを、そのとき初めて気が付いた。 * 私の復讐は終わった。 アルバイトも終わった。 そして、スキーからも離れた。 * 美しい山の景色がいつまでも心に残った。 *
* [松明行列に魅せられて] * バッジテストの2級をとらなくっちゃ! そう思ったのは、数年後に、とある東北のスキー場を訪れたときのこと。 * 景色の素晴らしいスキー場だった。 年末のそのスキー場で手にした1枚のチラシ。 「松明(たいまつ)行列、参加者募集!」 * わあ、是非、参加したい! ところが…。 <条件=2級以上> * 山頂から松明を掲げて、ボーゲンでゆっくりと、間隔を保って降りてくるには、 2級以上という、判断材料が必要なのだ。 そりゃそうだ…。 *
* [自然の中に…] * この雄大な景色の中をいくつもの松明がゆっくりと降りてくる… それを想像しただけで、静かな喜びが心に湧いた。 ぜひ、その松明のひとつを持ってみたい… 自然の中に入ってみたい… * それから、スキー三昧が、また始まった。 *
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